討論・議会報告

第5号議案「令和5年度中野区一般会計予算」について賛成討論を行いました。


中野区議会令和5年第1回定例会にて「中野区議会 立憲民主党・無所属議員団」を代表して、杉山司議員が第5号議案「令和5年度中野区一般会計予算」についての賛成討論を行いました。

立憲民主党、自民党、公明党、共産党、都民ファースト内野議員、近藤議員、石坂議員、立石議員
 
都民ファースト渡辺議員、むとう議員、小宮山議員、吉田議員、竹村議員
 

賛成討論

賛成討論の原稿はこちらです:

第5号議案「令和5年度中野区一般会計予算」について賛成討論

令和 5 年 3 月 2 日
立憲民主党・無所属議員団

 第5号議案「令和5年度中野区一般会計予算」につき、立憲民主党・無所属議員団の立場から賛成の討論を行います。

コロナの感染状況がいまだ予断を許さない中、ロシアによるウクライナ侵攻等の影響による物価高騰があり、今もなお区民生活は大きな影響を受けています。区はそうした状況下において、来年度の予算組みを行い、令和5年度中野区一般会計予算は、1,956億3,000万円、前年度に比べて約377億円、23.9%の増、過去最大となりました。

歳入については、納税義務者数や所得の増加による特別区税の増や、税収増の影響による特別区交付金の増、地方消費税交付金の増を見込みました。経済が回復しつつある、景気が上向き傾向にあるという国や東京都の言葉と裏腹に、区民から「給料が上がった」「景気が良いと感じた」などという声は全く聞かれません。コロナ禍での給付金や補助金が課税対象になっている関係で税関連が増収見込みとなったという見方もできるので、今後の財政運営のためにも税収増はきちんと分析していく必要があります。都へは都区財政調整比率の見直しを、国には年々多額になるふるさと納税制度や法人住民税の一部国税化、消費税精算基準見直しなど、引き続きの改善を働き掛けていく事も忘れてはなりません。

歳出に関しては、区役所新庁舎整備費、平和の森小学校の用地購入ですでに230億円程度となり大きな影響があります。さらに学校施設整備費などの投資的経費に加えて、コロナワクチン接種体制確保経費等のコロナ対策経費、物価高騰による光熱費の増が見込まれています。職員定数条例の上限を100人増やし、2100人と定めたことによる人件費への影響は見られず、また事業のシステム化検討やDX推進による作業のさらなる効率化や業務の見直しによる歳出削減の効果にも期待するところです。

本予算は、新たな財政運営の考え方に基づいて編成されたはじめての予算です。基準となる一般財源規模の考え方をやめ、歳入一般財源の見込み額を一般財源充当事業費の目標額としたことで、事業や基金への積み立ての検討がしやすくなりました。施設整備に充当する基金については、減価償却費25%相当分を積んでいくという考え方を定めました。さらに余剰分は優先的に義務教育施設整備基金に積んでいく方針が示され、本来4億円のところを23億円とし、学校施設整備の財政基盤が強化されたことは評価します。起債においても、多額の起債予定となる新庁舎整備事業においては、現区役所とサンプラザの再開発事業の転出補償金で賄うこととしており、財源は確保されています。

以上の通り、歳入は確保され、また公債費負担比率の推計も健全な指標を示しており、基金も考え方を持って積むことができていることから、令和5年度については当初予算で示された事業の拡充・推進を実現していくことが可能な財政状況にあるといえます。

予算編成方針では、5項目を重点事項とされましたが、特にわが会派として強く要望をしてきた子育て先進区の取り組みとして「子どもの貧困対策の推進」「ひとり親家庭支援」「子育て支援ハンドブックおひるねの発行」「認可保育施設における障害児の受け入れに対する扶助費の加算」「若者育成支援事業」「妊娠から子育てにかかる切れ目ない相談支援体制の充実」を、教育分野では「小中学校の指導体制・組織体制の充実」「教育相談体制の充実」「ICT支援体制等の充実」を、地域包括ケア体制の取り組みでは「地域支援業務の体制強化」「区民公益活動の充実に向けた基盤整備とネットワークづくり」「ひきこもり支援事業」「ヤングケアラー支援」を、そして活力ある持続可能なまちの実現の取り組みとしては「中野サンプラザ閉館を契機としたシティプロモーション」「商店街キャッシュレス普及キャンペーン事業」「多文化共生事業の推進」「脱炭素社会の実現に向けた分析調査」等に取り組まれることを評価いたします。

しかしながら、学校施設整備の遅延や教室不足、旧本町図書館暫定貸付決定の経緯、西武新宿線連続立体交差事業の進捗状況に影響される沿線まちづくり、新庁舎完成時の最先端の窓口サービス実現の不透明さなど、課題は山積しております。今後の社会情勢の不安もあり、財政においても楽観はできません。議会にも区民にも都度情報提供すること、原理原則に基づき公正に業務が推進されることを強く要望します。

今、中野駅周辺は100年に一度の再開発が進んでいます。一連の中野駅周辺再開発事業の中で、わが会派として非常に心配をしているのが、区役所・中野サンプラザ跡地施設の一体的な再開発関連事業の中野区が保有する権利床についてです。特に都庁よりも高いシンボルタワーについては、展望フロアを作ることについては否定はしませんが、そもそも提案をしてきたのは事業者側であり、当初の提案通り民間所有により実現すべきと考えます。

区長は2月13日の施政方針説明で、「中野区基本計画」の3つの重点プロジェクト「子育て先進区の実現」「地域包括ケア体制の実現」「活力ある持続可能なまちの実現」をしっかりと前へ進めると話されております。ヒト・モノ・カネなどのリソースを適材適所に投入し、3つの実現をゆるぎないものとしていかなければなりません。そしてまだまだ行政側として、いかに区民に寄り添った施策ができるか、いかに中小企業や商店を支援していけるかを考え、継続していかなければなりません。

人そのものが成す力、人と人とが織りなす新たな共生、そしてテクノロジーの生み出す効果や時間などを、これからどのように活用していくのかを見極めつつ、その時々で使うべきところに予算をしっかり当てていっていただきたい、そのことを付け加えまして、賛成討論とさせていただきます。