討論・議会報告

「中野区基本構想」の議案に賛成討論を行いました

令和3年第一回定例会において、私たち立憲民主党・無所属議員団は、中野区の提出した「中野区基本構想」の議案に賛成、以下のとおり賛成討論を行いました。

中野区基本構想 賛成討論

令和3年3月23日

上程中の第13号議案、中野区基本構想について、立憲民主党・無所属議員団の立場から、賛成討論をいたします。

本議案で定める基本構想は、中野区に住む全ての人々や、中野のまちで働き、学び、活動する人々にとって、平和で、より豊かな暮らしを実現するための共通目標であり、また、区が区民の信託に基づき区政運営を進める上で最も基本的な指針となるものであり、おおむね10年後に目指すまちの姿を示すものであります。

現基本構想は平成17年に策定され、以降、平成22年、28年と改定されてまいりましたが、時代の経過とともに社会状況や価値観も変わりました。新しい区長の下、新しい時代に即した新しい基本構想を早期に定め、区民と議会と行政が10年後のまちの姿を共有し、このコロナ禍における厳しい時代を乗り越えることが必要であると考えます。

また、本議案が否決されることにより、基本構想の策定は第3回定例会にも後ろ倒しになるとも聞き、7か月の空白期間を生じさせてはなりません。基本計画や関連する個別計画も遅れ、区民生活にも多大なる影響を及ぼします。

新たな基本構想の策定においては、基本構想審議会での議論、区民意見交換会、パブリックコメントを行うことが必要ですが、対話の区政を掲げる酒井区長は、それに加えて、無作為に抽出した区民によるワークショップや、約2,000人へのアンケートを実施し、また、区民と区長のタウンミーティングを開くなど、より幅広く区民の意見を聴く取組を行ってまいりました。

審議会にも、学識経験者だけでなく多くの区民が参加し、また、職員からも幅広い意見を集約するため、職員プロジェクトチームを設置されました。基本構想の取りまとめに不可欠であったこうした議論に参加していただいた全ての皆様に感謝します。

中野の最大の財産は人であるという区長の思いと、多様な立場、考えを持つ人々の議論が混ざり合い、多様性の尊重、誰一人取り残されることのない社会の実現、協働と協創の深化、一人ひとりが豊かな人生を歩むための支援と、人を中心とした四つの項目が私たちの大切にすることとして掲げられたことが最大の特徴であり、また我々が評価する点です。

コロナ禍において策定される基本構想でもあります。区民の生命、健康、財産を守るための体制強化が盛り込まれただけでなく、感染者等に対する偏見、差別に対する問題意識が示されたことも重要です。

中野区男女共同参画・多文化共生推進審議会では、性別、性自認や性的指向、国籍や文化、年齢や世代、障害等の多様性を認め合いながら、あらゆる場面において個性や能力を発揮できる地域社会の実現に向けた議論を進めています。こうした取組が大きく花開くことを期待しています。

子育て先進区の実現に関連したところでは、子どもの育ちを未来の希望として、地域全体で支えるまちを築くと掲げられました。その中でも、特に子どもの命と権利を守ること、若者のチャレンジを支援することが盛り込まれた点を評価します。

今後10年で、高齢化はますます進展していきます。いくつになっても自分らしく生きられるまちの実現が掲げられました。地域包括ケアシステムの構築は急務です。病気や障害だけでなく、いわゆる8050問題やダブルケア、孤立など、様々な課題を抱える一人ひとりに必要な支援を届けるとともに、コロナ禍で重要性がさらに増したフレイル予防、認知症予防に積極的に取り組んでいただくことを期待します。

中野の最大の財産である人は、区民だけでなく区職員もしかりで、地域に飛び出す職員像は、新たな行政サービスの息吹を感じるものであります。中野に関わる全ての人と協働しながら、豊かな暮らしの実現を目指す視点も評価するところであります。

縷々申し述べましたが、そもそも基本構想は、将来の中野区のまちの姿を描く区民との共通目標であり、また、区政運営を進める上で最も基本的な指針となるものであります。区民はもとより、区職員にとっても、区政の方向性や区が実施する施策の全体的な姿が示されることは、まちづくりに意欲や力を注ぎやすくなり、区政の活力と区民参加のさらなる促進につながるものと考えます。

新型コロナウイルスは、単なる感染症という問題ではなく、私たち人間の生き方を根本から覆し、世界の秩序や文明すら一変させました。我が国においても、現段階では収束に向けた見通しは立っておらず、こうした不確かな時代だからこそ、中野区には区の将来像と方向性を明確に示すことが今こそ求められていると考え、以上の理由から、賛成討論といたします。

御清聴ありがとうございました。