討論・議会報告

令和6年度「中野区一般会計歳入歳出決算」及び「介護保険特別会計歳入歳出決算」の議案に対し賛成討論を行いました。

中野区議会令和7年第3回定例会にて「中野区議会 立憲・国民・ネット・無所属議員団」を代表して、山本たかし議員が認定第1号「令和6年度中野区一般会計歳入歳出決算」及び認定第5号「令和6年度中野区介護保険特別会計歳入歳出決算」についての賛成討論を行いました。

立国ネ無、自民、公明、共産、都ファ、無所属(石坂、小宮山、立石、斉藤、井関)

無所属(むとう)

 

原稿は以下のとおりです。

賛成討論

認定第1号、令和6年度中野区⼀般会計歳⼊歳出決算の認定について、認定第5号 令和6年度中野区介護保険特別会計歳⼊歳出決算の認定につきまして、⽴憲・国⺠・ネット・無所属議員団の⽴場から賛成の討論を致します。

令和6年度中野区普通会計決算は、歳⼊総額が前年度 7.1%減の 1,894億円、歳出総額が前年度⽐ 6.7%減の 1,852億円、実質収⽀⽐率は前年度⽐ 0.5ポイント減の 3.3%となりました。

経常収⽀⽐率は 81.3%と 10.1ポイントの増となりましたが、新庁舎整備費における区債元⾦償還 46億円の影響が⼤きく、その⾦額を差し引くと、経常収⽀⽐率は 76.6%と読み取れ、23区平均下でもあり健全な財政状況と⾔えます。

令和6年度の経済と区の状況としては、コロナ後の緩やかな賃上げが進んだものの、それを上回る物価⾼騰が区⺠⽣活の⼤きな負担となっております。区役所が新庁舎へと移転されDXや新たな区⺠サービスの展開や、中野区基本計画後期の取組みを具体化がされるなど挑戦の年となりました。

歳⼊では、特別区⺠税は前年度⽐ 0.8%減の 359億円でしたが、これは定額減税による課税額減のため 15億円減となったことによるものあり、地⽅特例交付⾦により補填されます。また、納税義務者数や納税者⼀⼈あたりの所得額に関しては増加している状況です。

特別区交付⾦は前年度⽐ 2.2%減の 463億円となり、普通交付⾦については好景気による基準財政収⼊額の伸びや財産費の前倒し算定の影響により 3億減、特別交付⾦は新庁舎の分割交付⾦の終了が主な原因です。令和8年度までは財産費の前倒し算定の影響が続くためこれを踏まえた財政分析を考えることが必要です。

⼀⽅、法⼈住⺠税の⼀部国税化、地⽅消費税の清算基準の⾒直し、ふるさと納税など国の不合理な税改正により、令和6年度は計 101億円と、学校が1校建設できるだけの多額の⾦額となっており、引き続き国に対して強く声を上げていかねばなりません。

歳出では、主に新区役所整備費や中野⼆丁⽬市街地再開発などで前年度⽐ 6.7%減となりましたが、⼈件費は主に定年制度移⾏による退職⼿当⽀給により 30億円増、扶助費が主に教育・保育施設給付で 16億円増、物件費が主に委託料と光熱⽔費により 35億円増となりました。

本年度は財政運営の考え⽅による施設改修分の基⾦積⽴⽬標額の通り当初予算では計上されず、⼀部決算剰余⾦を活⽤して対応しました。こちらは財政運営の考え⽅の通り積⽴をすべきでした。資材費や⼈件費の⾼騰を踏まえた今後のまちづくりや学校施設整備費の増、また⾦利のある社会となってきている中、基⾦積⽴の考え⽅の精度を⾼め、財政状況を⾒ながら起債の取りやめと繰り上げ償還の判断をするなど、将来負担の軽減につながる取組みも必要です

区は次期基本計画・区有施設整備計画を定めようとしている中にあって、現実的な財政運営の考え⽅を定め守っていかねばなりません。

しかし、世界政治や経済・社会は⼤変動を迎えており、極めて不透明であり、様々な状況変化により、区は財政運営の考え⽅を重ねてまいりました。つまり今の時代はそれ程難しいということです。

将来予測の精度を上げるためにも、経済⾦融の世界では強気・中⽴・弱気パターンと内部では3シナリオ⽤意することが定⽯の様に、経済⾦融部⾨における専⾨のアドバイザーの知恵も借りるべきです 。

また、介護給付費準備基⾦については、これまで基⾦の活⽤で介護保険料の抑制に⼀定の成果をあげていることは理解しますが、残⾼の推移をみる限り、今後の考え⽅が⾒えません。事業期間の3年間だけでなく、将来の介護保険運営について⼀定必要な基⾦を想定の上、その活⽤について区としての明確な⽅針を⽰すことを求めます 。

個別の事業では、新庁舎における窓⼝サービス向上、庁内の障害者雇⽤拡充、⽣成 AI の導⼊、電⼦契約の導⼊、すべての公園への防犯カメラ設置の取組み、能登半島地震を踏まえた防災物資の拡充、ひとり親家庭住宅⽀援、医療的ケア児の総合的⽀援の拡充、ベビーシッター利⽤⽀援事業の拡充、⼦どもの意⾒を反映した教育活動、児童館機能の拡充、不登校児童・⽣徒⽀援の拡充、⾼校⼊学⽀援⾦、⽂化・芸術を通じた⼦どもの健全育成事業の充実及び⼦ども・若者⽂化芸術振興基⾦の創設、デジタル地域通貨、再エネ・⼩エネ機器等導⼊助成の拡充、などを評価致します。

区役所が新庁舎となり、1F区⺠交流スペースでは毎⽇多くの⽅に使われている姿を⾒て、嬉しく思っています 。⼀⽅、区有施設の7割以上が建築後30年を経過し⽼朽化が進む中にありますが、既に新旧学校施設の環境格差が⽣じています。建替計画をいたずらに延ばすことによる教育現場への皺寄せをするのではなく、⼦どもたちに出来得るだけ早くに、より良い学びの場を提供することが必要です。

中野駅新北⼝駅前エリア再整備事業について、令和6年度末3⽉に事業計画の⾒直し⽅針を判断したことは評価いたしますが、将来的に⾒込んでいた歳⼊が無くなり新たな⽀出も⽣まれるなど、財政への影響もありました。次の計画策定にあたっては区⺠が納得感を持って共創出来る様、情報公開の⼯夫に努めつつも、時勢を⾒極めスピード感を持った取り組みが必要です。

また、 「まちづくりは⼈づくり」と⾔いますが、多様な区⺠に恵まれている中野区にとって、また、関係⼈⼝が⽇本でも随⼀多い中野区において、来街者が有機的につながれるコンセプトが⽣まれ豊かな社会関係資本が構築されることを期待します 。今回の⾒直しは区⺠と共創する「つながる・はじまる・なかの」を進化させる絶好の機会です。今後も区⺠⽣活を底⽀えし、希望に溢れる未来への礎となる基本計画・区有施設整備計画・新北⼝駅前エリア再整備事業計画が策定されることを求めまして、賛成の討論と致します。

以上

引き続き、皆さんの声もお寄せください。