要望・意見書

「離婚後の共同親権制度の検討に際し、子どもの視点に立った熟議を求める意見書」を提出しました

中野区議会 立憲・国民・ネット・無所属議員団提案の意見書が採択され、中野区議会として関係省庁の各大臣宛てに「離婚後の共同親権制度の検討に際し、子どもの視点に立った熟議を求める意見書」を提出しました。

立国ネ無、自民、公明、共産、都民ファースト、無所属(むとう、石坂、小宮山、立石、井関(れいわ)、斉藤けいた(維新))

無所属(吉田)

離婚後の共同親権制度の検討に際し、子どもの視点に立った熟議を求める意見書

法務大臣の諮問機関である法制審議会家族法制部会は2月15日、「離婚後共同親権」を可能にする「家族法制の見直しに関する要綱」を法務大臣に答申した。要綱は、父母どちらかの単独親権に限る現行制度を見直し、離婚後に両者が親権を持つ共同親権を可能にするもので、政府は3月8日に民法改正案について閣議決定を行った。単独親権以外の選択肢を増やすことは、家族や子育てのあり方などが多様化する中で、その必要性は理解するところである。そして最優先すべきは子どもの利益にほかならない。

一方、すべての親と子どもに対して重大な影響をもたらす可能性があるにもかかわらず、国民的議論もないまま拙速に議論が進んでいるとの懸念の声が上がっている。

改正により離婚後共同親権が導入された場合、裁判所の決定により、関係の破綻した双方が共同で子どもの養育などに関与することを強いるような共同親権が強制されるようなことがあってはならない。離婚後共同親権が導入される際は、「共同親権が原則でない」ことを明文化し、強制が起きないように対策を行うこと、また、共同親権になっても、子ども及び一方の親に「不利益のおそれ」がある場合は速やかに共同親権を停止し、親権者を変更する規定を入れることも必要である。

同要綱については「法制審議会家族法制部会における議論を踏まえ、その改正内容及びその解釈上参考となる事項を適切に周知する必要がある。」「子の養育は、子の意見・意向等が適切な形で尊重されることも含めて子の利益の確保の観点から行われるものである。その上で、子の養育は、父母のみがその責務を負うものではなく、その子の養育をする父母及び子に対する社会的なサポートが必要かつ重要であり、また、ドメスティック・バイオレンス(DV)及び児童虐待を防ぎ、子の安全及び安心を確保するとともに、父母の別居や離婚に伴って子が不利益を受けることがないようにするためにも、法的支援を含め、行政や福祉等の各分野における各種支援についての充実した取組が行われる必要がある。」など、附帯決議とされていることは重視すべきである。

また、子どもの利益を確保するため、養育環境の決定時に、子ども自らが意見や意向を安心して伝えられる、専門家による聞き取りなどの支援体制の構築や、ひとり親家庭の貧困を解消するため、法定養育費制度を速やかに創設するとともに、養育費の支払確保等の各種支援策を拡充するべきであると考える。

よって、中野区議会は、離婚後共同親権制度の検討に際し、子どもの最善の利益を最優先に議論を尽くすことを強く求める。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
法務大臣
厚生労働大臣
内閣府特命担当大臣(こども政策、男女共同参画) あて

中野区議会議長

中野区議会HPにPDF掲載:
https://kugikai-nakano.jp/gian/24321184649.pdf

意見書とは

地方公共団体の議会は、地方自治法第99条の規定に基づき、国会に対して意見書を提出することができます。