中野区議会・第1回定例会にて「中野区議会 立憲民主党・無所属議員団」を代表して、山本たかし議員が第18号議案「中野区公契約条例」についての賛成討論を行いました。
賛成討論
賛成討論の原稿はこちらです:
第18号議案「中野区公契約条例」について賛成討論
令和 4 年 3 月 25 日
立憲民主党・無所属議員団
上程中の第18号議案「中野区公契約条例」について、立憲民主党・無所属議員団を代表して賛成の討論を行います。
本条例は、公契約に関し、基本方針を定め、中野区及び受注者の責務を明らかにするとともに、公契約の締結において必要な事項を定めることにより、公契約に係る入札、契約などの適正化、労働者などに係る適正な労働条件の確保並びに公契約の適正な履行及び品質の確保を図り、以って地域経済の活性化及び区民の福祉の向上に寄与することを目的としています。
本件に付き、我が会派としてはこれまで私が議員になる前から先輩議員たちが議会において長年取り組んでまいりました。労働者団体などの調査により工事の請負契約において末端の労働者まで適正な賃金が支払われていない実態が問題視され、行政が発注する契約により、いわゆる官製ワーキングプアを生み出してはいけないとの考えのもと、基礎自治体としては千葉県野田市での条例制定をはじめとして、運動が全国に広がってまいりました。
前区政では労働者の適正な労働条件や、賃金の支払いが保障されることは労働基準法や最低賃金法などの国の法定義などによって守られるべきとの考えを維持してきましたが、公契約で働く労働者が賃金面で安心して働ける環境を、さらに整える役割が行政にはあると考えます。中野区では1000以上もの契約数があり、労働者の母数を鑑みれば影響も大きく、責務を十分に果たせているとは言えません。
工事請負契約だけではなく業務委託契約や指定管理協定などにおいても不当な労働環境・労働報酬があった際は公共サービスの質に直結し、区はこれまでの総合評価方式制度に加え、社会保険加入の審査を加えましたが、賃金における規定はなく不十分です。
また、公契約条例の施行により事業者の中長期的な労働者の確保、健全で安定した経営環境の維持、また、公契約に係る業務に従事する労働者が安心して働ける環境の促進、後継者や人材不足が課題となっている建設現場において、魅力ある職業としての担い手の増加、それに依り熟練の技術や技能が後世へ継承されていくこと等も期待されます。
新型コロナウイルスが蔓延する中、社会の運営に必要不可欠な人材、エッセンシャルワーカーについて注目を浴びました。そうした私たちの足場の生活を支える業務やそれを担う方々に対し、適正な労働環境・労働報酬を底支えする公契約条例が求められています。
公契約条例を公約に掲げた酒井区政に変わり、当初令和2年度内に提案される予定でしたが、新型コロナウイルス蔓延の影響により事業者側・労働者側との意見交換の機会が制限され、今回上程される運びとなりました。
また、ここ数年の間にも23区で条例制定が相次ぎ、新たに検討を始めている区も増えています。中野区は条例制定については後発ではありましたが、だからこそ先行区の状況や課題を整理しながら中野区版の公契約条例の検討を進めていかれました。
区は、事業者側、労働者側と丁寧なコミュニケーションを図り、双方ともに理解が進んだ上で、工事請負契約の適用範囲を1億8000万円以上、委託請負契約においては1000万円以上との基準を示し提案されていると受け止めており評価いたします。
本条例案の成立後に設置する公契約審議会において労働報酬下限額などを審議していくことになりますが、主要国の年収水準と比較すると、日本だけ30年にわたり給料が上がっておりません。今こそ公契約における労働報酬の引き上げを通じて、地域全体の賃金上昇に波及しつなげていくことを期待しています。
労働報酬下限額が設定された後、令和5年4月1日以降の契約について対象となりますが、令和4年度中に締結する公契約についても出来うる限り理念の周知、理解、協力を求めていくことも必要だと考えます。
本条例の実効性を持たせるため、先行自治体の状況を引き続き注視し今後運用する中において、「地域経済の活性化及び区民福祉の向上」といった目線での問題意識を常に持ち、課題を審議会に諮問の上、適宜適切な見直しを図ること、並びに公契約条例の理念を職員に対ししっかりと研修をしていただくこと、区民への周知・理解を図ることが重要だと考えます。
本条例成立を通じて、公共調達が地域経済の活性化、および区民の福祉の向上、ひいては地域全体の賃金の上昇となることを願い賛成の討論といたします。
参考:中野区公契約条例が制定されました(2022/3/25)
中野区では、区の公契約の手続き及び履行に係る基本的な方針等を定め、公契約に係る業務に従事する労働者等の適正な労働条件を確保するため、「中野区公契約条例」を制定しました。この条例は、令和4年第1回中野区定例会で可決されました。