議員が地方自治体へ学びに出かける「視察」がコロナで実施できないなか、少しでも体験的に学びを得たいと、東京国立近代美術館で開催中の「隈研吾展 新しい公共性を作るためのネコの5原則」(9月26日まで)に出かけました。
チケットは事前予約。感染予防の取組みが行われての開催となっていりました。
隈氏は、東京オリンピック会場となっている「国立競技場」の設計に参画するなど、現代日本を代表する建築家の一人です。
コロナ禍、われわれは、建築物「ハコ」の外、建物と建物との隙間にあるパブリックスペースの再定義をしようとしているのか?
今回の展示には、そんなお題が隠れているそうです。
「人が集まる場所」のための隈氏独自の方法論
展示されていたのは、隈氏の選ぶ公共性が高い建築68件。この公共性には、決して大規模な公共建築を指すだけではなく、人々が集う、リノベーションによる居酒屋のような小さな建築が含まれているのもポイントとのこと。
作品群は、隈氏の考える建築の5原則「孔」「粒子」「斜め」「やわらかい」「時間」に分類されて、建築模型や写真により展示されていました。
もし隈氏が中野のまちをデザインされたとしたら、サンプラザのDNAの斜めはどう表現されただろうか?と感じました。
建築素材として自然に回帰する木材に注目するようになった頃の作品、高知県梼原町の「雲の上のホテル」(地域交流施設)とその後建てられた町立図書館等、「アオーレ長岡」(新潟県富山市役所)の1階に配置された開かれた議場、TOYAMAキラリ(富山市立図書館等複合施設)の斜めをコンセプトにしたデザイン。隈氏監修により設計された南三陸さんさん商店街についての南三陸町長のインタビュー画像。
「新しい公共性や未来の都市のあり方について考える機会」となりました。
公共性は感じるもの。
作るというより、身体が反応して人が集まってくるもの。
先の建築5原則により、人に心地よい空間が生まれる。
そうして人に利用されることで、建物も空間も公共空間として活かされていく。
都市は神の目線で上から見るのではなくて、もっと下から見るべきである。
そこでこの度着目したのが人の目線からさらにもう少し下げた「ねこの目線」だったそうです。
コロナがおさまり、いつの日か、高知ゆすはらの施設やアオーレ長岡を訪問して実際に「新しい公共」を身体で感じることができる日が来るのを願いつつ、会場をあとにしました。