「第59号議案中野区奨学金の支給に関する条例」の議案に対し賛成討論を行いました。
中野区議会令和8年第2回定例会にて「中野区議会 立憲・国民・ネット・無所属議員団」を代表して、いのつめ正太議員が「第59号議案中野区奨学金の支給に関する条例」についての賛成討論を行いました。
採決は全会一致であり、賛成討論の原稿は以下の通りです。
第59号議案 中野区奨学金の支給に関する条例 <賛成討論>
上程中の第59号議案「中野区奨学金の支給に関する条例」原案について、立憲・国民・ネット・無所属議員団を代表し賛成の討論を行います。
生まれ育った環境によって進学を諦めることのないように、学びたいという意欲さえあれば、経済的事情に左右されることなく、高等教育という選択肢を持てる社会であるべきと、これまでの間一貫して区独自の給付型奨学金制度の創設を求めてまいりました。
私自身、大学へ進学し、高等教育が人生を大きく広げてくれることを実感してきた一人です。しかしその一方で、経済的事情から進学を断念した同世代も数多く見てきました。
もし、その人たちが学ぶ機会を得ていたならば。
もし、その人たちが夢に挑戦する機会を持てていたならば。
未来に花開くはずだった可能性の芽が、生まれ育った環境によって摘み取られてしまったのだとしたら、それは本人だけの損失ではありません。中野区にとっても、日本社会にとっても、大きな損失です。
文部科学省の発表によると、大学初年度に必要となる費用は国公立大学で約92万円、私立大学では約135万円にのぼります。また、日本学生支援機構の調査では、高等教育を受ける学生の53.6%が奨学金を利用しており、その約8割が貸与型奨学金です。私立大学へ4年間通えば、卒業時には400万円を超える返還を抱えるケースも少なくありません。
さらに近年、有利子奨学金の金利も上昇しています。総括質疑でも我が会派の山本議員が確認したところですが、利率固定方式では令和4年4月の0.4%から令和8年1月には約2.5%となり、この差だけで卒業後の返還総額には約78万円もの差が生じる試算となります。
国や東京都による修学支援制度は年々充実してきた一方で、所得要件などにより制度を利用できない子ども・若者が存在していること、また、高校卒業後の教育費負担は当事者のみならず子育て世帯にとっても大きな課題であることは、これまで指摘してきた通りであります。
教育費への不安は、進路選択にとどまらず、結婚や出産、子育てといった人生設計にも大きな影響を及ぼします。
だからこそ、そうした不安を取り除くための処方箋である区独自の給付型奨学金制度の意義は、単なる教育施策を超えた先にこそあるのではないでしょうか。それは、子ども・若者への投資であり、地域社会への投資であり、未来への投資です。その積み重ねは、将来的な貧困の予防のみならず、地域社会を支える人材を育み、中野区の持続的な発展にもつながります。
その政策価値は単年度の予算や対象人数だけでは測ることのできないものです。私は本制度が将来何倍にもなって中野区へ返ってくる価値ある投資であると確信しています。
制度の中身に目を向けると、国の修学支援制度に区が独自に上乗せを行い、29歳以下までを対象とする、全国的に見ても先進的な制度設計となっています。大学進学時だけでなく、社会へ羽ばたこうとする若者の挑戦を切れ目なく支えようとするこの対象年齢の設定は、若者政策に力を注いできた区の取り組みが表れたものであり、高く評価いたします。
また、中間所得層においても厳しい経済状況に置かれている家庭は少なくありません。そうした中で、本制度が生活困難層に加え、中間所得層まで対象を広げたことは、大変意義深く、その点についても高く評価いたします。
一方で、制度は創設して終わりではありません。むしろ今まさにスタートラインにあります。
これまでも、幅広い所得層への支援、多子世帯への配慮等について提案してきたところですが、利用実績や当事者の声を丁寧に検証しながら、支援を必要とする全ての子ども・若者・子育て世帯へ届く制度へと力強く育てていくことを求めます。
今まで高等教育を選択肢として考えることすらできなかった若者の手に、高等教育という選択肢を取り戻すために。
「努力すれば何でもできる。何にだってなれる」。
そう信じて未来に花開こうとする可能性の芽に、「あなたの挑戦を応援する」という力強いメッセージを、今ここで中野区が示すべきでないでしょうか。
子どもたち、そして若者たちの未来は、生まれ育った環境によって決まるものではありません。学びたいという意欲があれば、誰もが夢に挑戦できる社会を実現することこそ、私たち大人の責任です。
本条例が、全ての子ども・若者にとって希望の光となり、未来への扉を開くきっかけとなることを期待いたします。
なお、中野区議会会議規則 第78条 3項に、「本会議では原案のみを諮り、付帯意見は議決の対象としない」とあることを申し添えまして、原案に賛成の討論といたします。。
引き続き、皆さんの声もお寄せください。







