要望・意見書

「訪問介護の基本報酬引上げ等を求める意見書」を提出しました


中野区議会 立憲・国民・ネット・無所属議員団提案の意見書が採択され、中野区議会として関係省庁の各大臣宛てに「訪問介護の基本報酬引上げ等を求める意見書」を提出しました。

なお、同じタイミングで共産党から同趣旨の意見書の提案があったため、文言を調整した上で両会派からの共同提案となりました。

立国ネ無、自民、公明、共産、都民ファースト、無所属(むとう、小宮山、石坂、立石、吉田、井関(れいわ))

無所属(斉藤けいた(維新))

訪問介護の基本報酬引上げ等を求める意見書

2024年度の介護報酬改定において、身体介護、生活援助の訪問介護の基本報酬が引き下げられました。これにより、小規模な訪問介護事業者の倒産や人手不足に拍車がかかり、訪問介護サービスが受けられなくなる要介護者や介護離職が増加するおそれがあり、多くの介護事業者や介護関連団体などから、基本報酬の引上げを求める声が上がっています。

厚生労働省は、訪問介護の基本報酬引下げの理由として、利益率がほかの介護サービスより高いことを挙げています。しかし、これはサービス付き高齢者向け住宅や住宅型有料老人ホームなどヘルパーが効率的に訪問できる集合住宅併設型の事業所及び都市部の大手事業所が利益率の平均値を引き上げていると推測されることから、引下げの理由とすることが合理的なものか事業所の実態把握が必要です。

東京商エリサーチの調査によると、2024年1月から6月の半年間の訪問介護事業者の倒産は、過去最高だった2023年の年間67件の半数を超える40件となっています。

厚生労働省は、訪問介護の処遇改善加算について高い加算率に設定したと説明していますが、経営を支える基本報酬引下げは、小規模な事業者を経営難に陥らせるおそれがあります。また、上位の加算は要件が厳しいものが多く、基本報酬引下げ分を補填できない事業者が出ると予想されます。

訪問介護は特に人手不足が深刻であり、ヘルパーの有効求人倍率は2023年度で14.14倍と高水準です。今回の基本報酬引下げによって、人手不足を加速させることが懸念されます。

身体介護、生活援助等訪問介護は、要介護者及びその家族の生活を支える上で欠かせないサービスであり、このままでは在宅介護が続けられず介護崩壊を招きかねません。

よって、中野区議会は、国会及び政府に対し、下記事項の実施を強く要望します。

  1. 在宅介護の基盤を存続させるため、訪問介護の基本報酬引上げを行うこと。
  2. 介護報酬改定は、介護事業経営実態調査に基づくサービス全体の収支差率で判断せず、事業規模や地域の実態を踏まえた収支差率を十分考慮して判断すること。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出します。

中野区議会HPにPDF掲載:
https://kugikai-nakano.jp/gian/241021144952.pdf

意見書とは

地方公共団体の議会は、地方自治法第99条の規定に基づき、国会に対して意見書を提出することができます。

引き続き、皆さんの声もお寄せください。