中野区議会令和6年第1回定例会にて「中野区議会 立憲・国民・ネット・無所属議員団」を代表して、細野かよこ議員が第6号議案「令和6年度中野区一般会計予算」についての賛成討論を行いました。
賛成討論の原稿は以下のとおりです。
賛成討論
第6号議案「令和6年度中野区一般会計予算」について、立憲・国民・ネット・無所属議員団の立場から賛成討論を行います。令和6年度一般会計予算は、前年度比2.5%増の2004億3700万円余、2年連続で過去最高額を更新しました。
この議案に賛成する主な理由としては、新庁舎移転とそれに伴うDXの推進や区民サービスの向上を図り、また、区民ニーズに最大限応え、中野区基本計画の後期の取り組みを具体化した中野区実施計画の達成に向けた予算編成となっているからです。
また、子どもの権利を大切にする取り組みとして「子どもの意見を反映させた教育活動の推進事業」を始めることについて、子どもたちに最も身近な学校生活において意見が反映されるという経験・実感のできる政策であり、子どもの権利に関する条例の制定にとどまらず、条例を具現化し続ける区の姿勢を大いに評価するものです。
以下、本議案への賛成理由のほか、予算を執行するに当たり、我が会派として指摘すべき点、要望などについて申し上げます。
歳入については、定額減税による特別区税の減や、法人住民税の一部国税化、地方消費税精算基準の見直し、ふるさと納税流出額の合計が117億円となる一方、中野駅周辺地区の市街地再開発事業関連費や児童手当、学校施設整備費の増に伴う国庫支出金の増、特別区交付金の増や新庁舎移転に伴う転出補償金による諸収入の増などを見込んでいます。
近年、 中野区の歳入は好調で、大幅に上振れする状態が続いています。不確実性の多い時代であるがゆえの想定外の上振れであると一定理解いたしますが、好調な歳入の理由については、より詳細な分析が必要であるとともに、今後のまちづくりの進展に伴い納税者義務者数が増加することなどを見据え、歳入の見込みをより精緻に算出すべきです。
歳出については、新庁舎における窓口サービスの向上に5億4千万円余、デジタル地域通貨に6億円余、区立学校の学校給食の保護者負担軽減および給食費相当額の私立学校等保護者支援に10億円余をはじめ、電子契約の導入、児童館機能の拡充、ひとり親家庭住宅支援、(仮称)高校入学金支援、医療的ケア児等支援の拡充、ベビーシッター利用支援事業の拡充、不登校児童生徒支援の拡充、文化・芸術を通じた子どもの健全育成事業の充実及び(仮称)子ども・若者文化芸術振興基金の創設、区内中小企業者支援、地域包括支援センター相談体制強化、高齢者補聴器購入費用助成、再エネ・省エネ機器等導入助成の拡充など、区民の要望・会派の要望を反映いただいたことを高く評価いたします。
新庁舎に関しては、移転を契機として、更なる区民サービスの向上と事務処理の効率化を目指す「4つのない」(迷わない・待たない・動かない・書かない)で、いままでの手続きの煩雑さを解消する、としています。区民の利便性向上に関しては期待が大きいため、着実に事業を推進していただくことを要望します。また、新庁舎では外国人相談窓口やおくやみ窓口がスタートすること、1Fのイベントスペースや区民が利用できる会議室など、区民の交流・活動拠点としての新たな機能が存分に果たされること
を期待します。
地域防災に関しては、エアーテントの導入を始め、災害情報電子作戦卓の導入、外国人防災リーダーの育成、防災普及啓発資料の全戸配布など、災害対策は推進しているものの、いつ起こってもおかしくない首都直下地震への備えの強化はスピード感を持って行うことが重要で、耐震化助成のさらなる拡充も検討が必要です。今定例会でも多くの議員から防災についての質疑がありました。予算編成時には、能登半島地震は起こっておらず、新たに見えて来た課題については、補正予算を編成しての対応も見据えるべきです。
まちづくりに関しては、新たな中野の「顔」となる、中野駅新北口駅前エリアまちづくりを着実に進めていかなければなりません。その上で、将来世代の「負の遺産」となることが無いよう、特に、区の権利床のあり方については「コストの見合い」とのバランスを十分に踏まえた活用と、議会への適宜適切な報告を求めます。併せて、今後のまちづくりの中で、環境配慮・脱炭素化へ向けたさらなる取組を進めて頂くことも重ねて要望致します。
また、西武新宿線沿線まちづくりについては、西武新宿線(中井駅~野方駅間)の連続立体交差事業の事業期間内での着実な事業完了を実現すること、併せて、野方駅~井荻駅間の連続立体交差化計画の早期事業化を図るよう、東京都に対して強く訴えかけて頂くことを改めて求めます。
予算の執行にあたっては、以下の点について指摘いたします。
多様化する区民ニーズに応える形で新規・拡充事業が72と大幅に増加している中で、終了時期を定めているのは6事業にとどまっていることについて、さらなる取り組みが必要です。区民にとって必要な事業を進めていくことは大事ですが、予算編成方針通り、事業期間と目標達成の時期を見定めることも併せて検討し、事業見直しを図っていくべきです。
最後に、財政運営の考え方について申し上げます。
「最小のコストで最大の効果」を謳う中で、本来積み上げるべき基金に充分な積み立てができていない点は憂慮するところです。基金の積み立てができなかった理由について区は、新庁舎整備費用など一時的な財政負担をあげていますが、定額減税分は国からの臨時交付金として交付されることが予想されるなど「見込まれる歳入」がある中で、精緻な積算を行い、基金の積み立てを優先するべきです。今後学校・児童館・すこやか福祉センター等の施設整備が続きます。特に規模の大きな学校施設に対応する義務教育基金については優先的に積み立てるよう求めます。
減価償却費相当の25%を積み立てる考え方についても、施設整備計画の改定と併せて物価高騰分を加味すべきと考えます。
また、来年度から着手する次期区有施設整備計画は、今後の財政運営にも区民生活にも大きな影響を及ぼすものです。精度の高い見通しを持った実現可能な計画とするよう求めます。
区長は2月9日の施政方針説明で、「中野区基本計画」の3つの重点プロジェクト「子育て先進区の実現」「地域包括ケア体制の実現」「活力ある持続可能なまちの実現」をしっかりと前へ進めると話されております。人的資源などを適材適所に投入し、重点プロジェクトの実現をゆるぎないものとしていかなければなりません。
DX推進によって生み出される効果や時間などの活用方法についてはその効果を見極めつつ、精緻な積算の元、不断の事業見直しを行い、限られた予算の中で、区民に寄り添う政策の創造力を発揮していただく区政運営を求めまして、賛成討論とさせていただきます。
以上
引き続き、要望と提案を行っていきます。
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