中野区議会令和8年第1回定例会にて「中野区議会 立憲・国民・ネット・無所属議員団」を代表して、ひやま隆議員が認定第6号「令和8年度中野区一般会計予算」についての賛成討論を行いました。


認定第6号

立国ネ無、公明、共産、都ファ、無所属(石坂、小宮山、立石、斉藤、井関)
自民、無所属(むとう、吉田)

 

賛成討論の原稿は以下の通りです。

令和8年度当初予算<賛成討論>

1.歳入について

ただいま上程されました、第6号議案「令和8年度中野区一般会計予算」について、立憲・国民・ネット・無所属議員団を代表し、賛成の立場から討論を行います。

令和8年度の一般会計歳入歳出予算は2,126億9,400万円と、前年度に比べ176億9,800万円、9.1%の増となりました。また、令和8年度歳入一般財源は、令和7年度と比較して91億円増の1,086億円となっております。区の基幹収入である特別区税と特別区交付金は、いずれも過去最高となっており、堅調に推移している状況にあります。

しかし、アメリカ・イスラエル両国とイランとの軍事衝突による中東情勢の緊迫化など、日本経済を取り巻く不確実性が一層高まる中で、経済の下振れリスクを十分に想定した行財政運営が強く求められます。また、まちづくりの推進に不可欠な社会資本整備総合交付金をはじめとする国庫支出金については、近年、割り落としが増加傾向にあり、中野区においても令和7年度最終補正予算において大幅な割り落としが生じております。今後も獲得に向けた厳しさが懸念される中、財源確保に向けた更なる取組みの強化とともに、将来にわたる財政需要・財源の見通しについて、より精緻な精査・予測を行うことを求めます。

一方、この間、国が進めてきた不合理な税制改正による影響は未だ解消されておらず、令和7年度予算ベースで中野区の影響額は総額110億円となっております。更には令和 8年度与党税制改正大綱において、東京都が課税する固定資産税についても税収の著しい偏在状況があるとして、特別区の貴重な財源をさらに吸い上げる動きが見受けられます。

国によるこうした動きに対し、今後もあらゆる機会を通じて、特別区の立場を強く主張していくとともに、これらを区財政における単なるリスクではなく、もはや明確な脅威として捉え、それらを見据えた財政運営に一層努めていただくことを要望致します。

2.歳出について

次に、歳出について。令和8年度予算には、中野駅周辺のまちづくりに係る費用として181億円4,844万3千円が計上されております。区長も施政方針説明において、中野駅新北口駅前エリアの再整備を中野駅周辺まちづくりの“ラストピース”と位置付け、「未来へ責任を果たせる再整備を進めていく」との決意を述べられました。

今年の12月にはいよいよ中野駅西口改札、駅ビルが完成し、中野駅周辺の回遊性と利便性の向上、まちのにぎわいの活性化が期待されます。中野駅周辺の基盤整備が着々と進む中、その中核をなす拠点施設だけが取り残され、本来区民が得られるべきはずの巨大な便益の損失が長期に渡り続く事態は絶対にあってはなりません。

当該事業が長期に渡り停滞することが決してないよう、スピード感を持って着実にまちづくりを進められるよう要望いたします。

また、本予算には、新規事業として、区立学校の教育に関する費用負担補助、4億4,444万円が計上されております。これは、区立小中学校に通う児童・生徒の保護者から徴収している教材費・修学旅行費・校外学習費・移動教室費の補助を行うものです。これまでも、学校給食費、AI学習ドリル、読書アプリ、小学校社会科見学バス費用負担等の無償化を実施してきました。これらの取組みにより、中野区の子育て環境および教育環境は一層向上し、誰もが質の高い教育を受けられる機会が拡大されるものと期待いたします。

今後は、子どもの貧困対策、発達に課題を抱える児童への支援、不登校児童への対応等、よりきめ細やかな施策を展開し、「子育て先進区」の深化に向けたさらなる取組みを期待するところです。

さらに、本予算においては、新規事業として、給付型奨学金事業、270万3,000円が計上されております。これは、経済的理由により高等教育への進学・修学が困難な環境にある若者を対象に奨学給付金を給付するものであり、これはかねてより我が会派の猪爪正太議員が強く求めてきたものです。学ぶ意欲を有しながらも経済的理由等により高等教育への進学を断念せざるを得ない境遇にある若年に対し、区として支援する制度を創設したことは、大変意義深いものであり、高く評価いたします。今後の取組みの中で、制度のさらなる拡充を期待するところです。

そして、これらの取組みの他、令和8年度予算には、これまで我が会派から求めてきた多くの施策が盛り込まれました。

具体的には、

〇保育所等の業務負担軽減支援事業、
〇学習支援事業の対象拡大、
〇ひとり親家庭相談の体制拡充、
〇英語によるコミュニケーション能力等の向上、
〇なかのデジタルプラットフォーム整備、
〇産後ケア事業の拡充、
〇障害者福祉手当の支給額の増額、
〇公園等トイレ環境改善

など、これらの区民福祉の向上に資する施策が充実している点は、高く評価するところです。区民の多様なニーズが一層高まる中で、現在の歳入の状況も踏まえ、真に必要な新規事業や既存事業の拡充については、積極的に取り組むべきであると考えます。

しかし、その前提として、新規・拡充事業に限らず、本来すべての事業の実施に当たっては、エビデンスに基づく客観的な効果検証を徹底し、事業の有効性・実効性について評価した上で、継続・見直し・廃止等の判断を行うことが不可欠です。行政評価のさらなる深化・充実を図り、PDCAサイクルをより強固なものとするよう、さらなる取組みを求めます。

3.財政運営の考え方について

現行の中野区の財政運営の考え方では、「予算編成開始時における歳入一般財源額の見込み額を一般財源充当事業費の目標額とし、歳出削減に努める」とあります。

令和8年度予算編成開始時における歳入一般財源の見込み額は、1,053億円に対し、令和8年度当初予算の一般財源充当事業費は1,032億円となっており、目標の範囲内に収まっております。また、基金への積立については、当初予算編成時の積立目標額を大幅に上回る過去最大の235億円の積み立てとなりました。

学校施設の建て替えをはじめとする老朽化した公共施設の計画的な更新・整備など、将来にわたる区民サービスの持続可能性を確保するための着実な財政基盤強化の取組みとして、高く評価いたします。これらの指標を総合的に勘案すれば、令和 8年度予算は、現行の中野区の財政運営の考え方に概ね則った適切な予算編成であると評価できます。

一方、現行の財政運営の考え方では、財政調整基金の施設改修分、社会福祉施設整備基金及び義務教育施設整備基金については「年度末残高は当該施設の減価償却累計相当額(調整後)の25%の確保に努める」とありますが、いずれも目標額には至っておりません。更には仮に年度末残高が目標額に達したとしても、物価高騰の長期化により更新経費についても今後さらなる上昇が懸念される中では、現状の区の考え方ではこれらのコスト上昇に十分耐えうるものとはならないことが想定されます。

建設コストの急激な上昇傾向が続く中、実際の整備費用と当初積算額との差異については精緻な検証を行い、仮に差異が生じる場合には積立比率を見直すなどの必要な対策を速やかに検討するよう求めます。

4.区財政から見る酒井区政の総括

令和8年度予算は、酒井区長2期目の在任期間中、最後の予算編成となります。

この間、「子育て先進区実現に向けた取組み」「新型コロナ対策」「新庁舎整備」「地域包括ケア」「区内まちづくり」をはじめとした様々な取組みを通じて、中野区政を前に進めてきた酒井区長の実績を評価するところです。

一方で、酒井区政8年間の行財政運営は、この間の好調な歳入によって支えられてきたという側面は冷静に捉えなくてはいけないと思います。

長きにわたる中野区議会の歴史の中で、多くの先輩議員が区財政を論じる際に引用されてきた言葉として、「入るを量りて出ずるを為す」という格言があります。歳入を的確に捉え、それに見合った歳出とすべしという旨の、時代を超えた財政運営の不変の原則です。

ここでの「入る」を各年度ごとの短期的な歳入見込みとして解釈すれば、歳入の増加が継続する中では、歳出についても継続的な拡大傾向が生じ得るということになります。しかし、短期的な歳入拡大に即応して歳出を考えるのではなく、長期的な視点で歳入を捉え、歳出規模を適正化することが、この格言の本質に適うものであると私は考えます。

今後の経済動向については様々な見解がありますが、経済は好景気とリセッションを繰り返すという原則に立てば、いずれは必ず景気の後退局面を迎えることは間違いありません。今後の歳入の見通しが決して楽観視できる状況にない中で、歳出には区有施設の更新やまちづくりなど多額の財政負担を伴う政策課題が山積しています。

今こそ、将来需要を的確に見据えた持続可能且つ緊張感のある行財政運営が強く求められております。折しも新たな基本計画がスタートする年にあたり、現下の好調な歳入状況に甘んずることなく、長期的な視野に立った「区政100年の計」を切り開く、酒井区長のさらなる強いリーダーシップに期待をいたします。

以上を申し上げ、本議案に対する賛成の討論といたします。ご清聴ありがとうございました。

引き続き、皆さんの声もお寄せください。